Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 一番大事な「式次第」など掲示物をはじめに、体育館中に整然と並べられたパイプ椅子にも「3年生」や「保護者席」などの案内表示を貼り付ける。「トイレ」や「受付」など細々したものを合わせると、大量の掲示物だ。


 ステージの中央には日の丸が掲げられ、演説台の横には松の盆栽が置かれる。普段は生徒たちが汗を流す体育館が、簡素ながらも荘厳な雰囲気に包まれていた。


 明日、ここで遼太郎が卒業していく――。


 みのりの胸が、切なく一つ鼓動を打った。

 けれども、遼太郎をはじめ3年生を、晴れ晴れとした気持ちで送り出してあげたい。
 そう思うと、気持ちも奮い立ってくる。みのりは気を取り直して、掲示物とテープカッターを抱え、次の掲示場所へと向かった。


 準備が一通り終わって、帰宅の途についている途中、いつもより早く帰宅できていることに気付いたみのりは、買い物をして帰ることにした。
 午後から授業がなかったので、少し疲労の度合いも軽かった。


 いつも買い物をする〝サンライズ〟へ向かう途中で、どんよりしていた空から雨が降ってきた。


――明日、雪にならなきゃいいけど…。


 この寒さならば、そうなってもおかしくない。
 以前、勤務していた学校の卒業式の日が、やはりとても寒い日となったことがあり、式の間中、冷えきった体育館にいて、みのりは風邪をひいてしまった経験がある。


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