Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
もっと遼太郎を面白がらせようと、みのりは知恵を巡らせた。しんみりしてしまうと、また泣いてしまいそうなので、明るく振る舞って、予防線を張っておかなければ。
けれども、心がこんなに寂しいと泣いているからか、笑わせるような話題は浮かんでこない。
遼太郎の方も何も喋らないので、みのりは少し困ったように笑いかけるしかなかった。
みのりが笑いかけているにも関わらず、遼太郎から笑みが消える。思い詰めたような表情が過《よぎ》り、唇を噛んで薄闇に落ちる雨粒を見つめている。
「その前に、ここで待ってるだけで風邪引きそうよ。お母さんが来てくれるの?」
なんとなく気まずくなった空気を元に戻そうと、みのりが口を開いたけれど、
「はい…。」
と、遼太郎は短く一言返すだけだ。
「遅くなるようなら、送っていってあげようか?」
思いがけないみのりの申し出に、遼太郎の表情が固まる。
――先生に告白するチャンスだ…!
母親には随分前に連絡したので、もう来る頃かと思ったが、遼太郎は突然到来したこのチャンスを生かしたかった。
ここのところ、みのりと二人きりになれることなど、ほとんどなかった。
告白は明日の卒業式の後に――、と決心していたけれども、チャンスの時にそれを生かしておかないと、明日だってどうなるか分からない。