Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 配布物の整理が一通り終わったので、澄子は改まって、卒業証書を渡し始めた。先程名前を呼ばれた順番に、澄子の前に進み出る。

 すごく大切なものには違いないが、特別な感慨など伴うことなく、遼太郎はそれを受け取った。


――先生は、きっと「おめでとう」って言ってくれるだろうな…。


 証書の文面を見ながら、そう思う。

 みのりは、花園予選のときも推薦入試のときも、いつも寄り添って、辛いことも嬉しいことも共有してくれた。
 卒業するということが喜ばしいことなら、それをみのりと分かち合いたいと、遼太郎は思った。

 …そして、卒業してからも起こるだろう色んな出来事を、それがたとえどんなことでも、みのりと一緒に受け止めていきたいと思った。


――そのためには、なにをおいても、先ずは告白あるのみ…!


 告白しないことには、何も始まらない。
 遼太郎は、今日という日を終わりの日ではなく、始まりの日にしたかった。


 担任の澄子と副担任の話があって、教室は少ししんみりと、けれどもそれ以上の歓びに包まれ、LHRは終わった。

――さあ…!と、遼太郎は職員室へと向かうべく、立ち上がる。


「待って!みんな、帰らないで!!これから先生たちと謝恩会をするから。」


 女子の誰かが、教室から出て行こうとする者を牽制した。


< 718 / 743 >

この作品をシェア

pagetop