Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「これから外出するんですか?ジャンパー着てますけど…。」
何と応えていいのか分からなくなったみのりは、違う話題を持ち出した。久我は、スーツには不似合いなくたびれたスタジアムジャンパーを着ていた。
「ああ、いや、帰るんだよ。今日は授業ないし。年休も残ってるしね。」
「えっ!?」
この久我の姿を澄子に見せたかったみのりは、それを聞いて焦った。この機会を逃したら、次はいつお目にかかれるか分からない。
「何?何か問題ある?」
と、久我は眉をひそめる。
「いや、問題はないんですが。…先生、澄ちゃん!澄ちゃんと話しました?」
思いきって、みのりは久我に確かめてみる。
「山崎さん?いや、話してないけど。3の1はロングの後、謝恩会するらしいから、まだ教室にいるんじゃないの?」
久我は、みのりに澄子の所在を訊かれたと思ったらしい。
そう答えると、手を振って職員室を出て行ってしまった。引き留める術もなく、みのりはがっかりして肩を落とす。
――…そうか、謝恩会…。
久我に言われて、みのりはそのことに気がついた。
まだ、遼太郎が校内に残っているということだ。