Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



――…いや、もしフラれた場合、その後も一緒の場所にいるのは気まずいぞ…。そうなると、やっぱり謝恩会が終わってからか…。


 心の迷いを表すように、遼太郎の足取りが重くなる。

 けれども、遼太郎は気を取り直して、再び走り始めた。今は、みのりがもう帰ってしまっていないか、そっちの方が気になっていた。


 職員室の入口が見えた時、そちらに向かって歩いている薄いグレーのスーツが、遼太郎の目に飛び込んできた。遼太郎はすぐさま、その後ろ姿がみのりだと直感する。

 まだ帰っていなかった…という安堵とともに、「仲松先生」と声をかけようと、口を開いたちょうどその時、


「狩野先輩!」


と、女の子の声に呼び止められた。


 無視して自分の用事を優先することも出来たが、人のいい遼太郎は、立ち止まり声の主を探す。


「あ~、やっと見つかった。もう帰ったかと思ってました。」


 渡り廊下の向こう側から、遠くに遼太郎を見つけて、声をかけたらしい。1年生と思われる女子が二人ほど、駆け寄ってきた。
 3年1組は謝恩会をしていることを知らなかったのだろう。


「あの、ちょっと一緒に来てもらっていいですか?ユウちゃんが待ってるんで…。」


――…ユウちゃんって、誰だ…?


 遼太郎は困惑して、眉をよせた。
 けれども、二人の女子は、遼太郎を導くように、前に立って歩き始める。


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