Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「…あ、あの…。」


 遼太郎の険しい表情を見て、ユウちゃんは言葉を潰えさせた。すると、そのことに気づいた遼太郎は、無理に表情を緩め、次の言葉を待った。


「…お願いします!ボタン…、くださいっ…!」


 ユウちゃんはそれを言うなり、頭を下げる。
 告白されるとばかり思っていた遼太郎は、一瞬その意味を理解しかねた。


「ボタンって、制服の…?」


「…はい。」


 消え入りそうな声で、ユウちゃんは答える。


 恋愛事情に相当疎い遼太郎は、卒業式での制服のボタンが意味するところを、全くもって知らなかった。
 それどころか、何でこんなものがほしいのか、それを言うために何故こんなところまで自分を連れてくるのか、遼太郎はますます困惑した。


 しかし、こんなところで油を売っているわけにはいかないので、遼太郎は急いでボタンを外しにかかる。


「…あの、できれば、第2ボタンを… 。」


と、一番下の第5ボタンを外そうとしていた遼太郎に、ユウちゃんは懇願した。

 遼太郎は手を止めて眉を寄せたが、その意味を確認する寸暇も惜しんで、改めて第2ボタンを外した。


 ボタンを受け取ったユウちゃんは、それを両手に包み込みギュッと胸に押し付けて、遼太郎を見上げた。
 その真剣な視線に、遼太郎は少し気圧される。


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