Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「はい!ありがとうございます。… 第2ボタンは、先輩の好きな人にあげたんですか?」
智香は、遼太郎の第2ボタンが既になくなっていることに気が付いて 、そう言った。
「…え?!好きな人?さっき、1年の子がほしいって言うからあげたんだけど…。」
「あっ、そうなんですか。第2ボタンは、大切な人にあげるって言うから、私、てっきりそうなのかと…。」
それを聞いた遼太郎は、愕然とした 。
――なんだって?!しまった…!!
と思ったけれども、もう今更返してくれとは言えない。
先ほどのユウちゃんが、第2ボタンにこだわったのも、それで合点がゆく。遼太郎は猛烈にそれをみのりにあげたくなったが、もう諦めるしかないだろう。
「ありがとうございます。先輩、卒業おめでとうございます。」
智香はボタンを受け取ると、そう言って頭を下げた。
遼太郎は智香がお祝いを言ってくれたことに薄い笑顔で頷くと、職員室へと足を向けた。
今は、ボタンのことなど二の次だ。早くみのりに会いたい――。
そう思うと、自然と足は再び走り始めていた。
ずいぶん遠回りをしてしまったけれども、遼太郎がようやく職員室にたどり着くと、みのりの姿はそこにはなかった。