ナンパ男との恋~最終章~
春樹編
「あれ?広樹は?」


日曜日の昼下がり。
ソファーに寝転がるように
テレビを観ている
春ちゃんに、そう聞くと


「広樹なら
昨夜出かけたっきり帰ってきてないよ?」



「うそ?」



「何でそんなウソつかないといけないのよー」



そう笑っている春ちゃんの言葉に

たしかに・・・そうだ。


と、納得している自分がいる。



「春樹は
夜出かけても
ちゃんと帰ってくるから
偉いね」


ソファーから起き上がり
そんな事を
言いながら笑いかけてくるから



「いつまでも
ガキ扱いしないでよ」



と、思わずそっぽ向いてしまった俺を



「もうすぐ17歳だもんね。
輝樹も春樹は、覚えが早くて
大工の見込みがあるから楽しみって言ってたよ」


ほら、また
ガキ扱いする。



「・・・別に普通だし」


ひいジィちゃんの会社を
輝ちゃんが継ぎ

俺は、中学を卒業し
すぐに輝ちゃんの会社に
大工見習いとして入ったのはいいけど
輝ちゃんの
すべてをこなす姿に
ただ、必死で背中を追い続けるしかない日々だ。

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