ナンパ男との恋~最終章~
初心忘れべからず

記憶がありません。

・・・帰ってこない。


現在、日曜日午前7時。

昨夜飲みに行ったはずの輝樹は

今現在、自宅には帰ってきておらず


「ただいまー、あれ?
春さん、早起きだね。」


朝帰りの広樹が
眠そうにあくびをしながら
そんな事を言っている。


「輝樹帰って来ないんだけど」


思わず、大きくため息をつき
そんな事を言ってしまっている私は
母親失格かもしれない。



「亮くんの家とか
健二くんの家とかで酔いつぶれて寝てるんじゃない?」


「それならいいんだけど・・・
今まで、朝まで帰らないとかないから・・・」


「俺、健二くんに電話してみるよ」


そう言いながら、携帯を手に
電話をかけてくれているけれど・・・


「あ、健二くん?朝早くにごめん。
輝ちゃんそこにいないかなと・・・
え!?あ・・・そうなんスか・・
いえ、はい、大丈夫です。
すいません。はい、お疲れ様です」


この様子だと、いないか・・・。


「いないって?」


「あー・・・うん。
かなり酔っ払ってたから
3時頃、健二くん達が
家の前まで送ってきたって・・・」


「家の前まで?」


「輝ちゃん、マンションの中に入って行ったって・・・」


「でも帰ってきてないよ?」


「輝ちゃんの携帯は?」


「繋がるけど、出ないの」


やっぱり、飲みに行ってもいいよなんて言わなければ良かった。

男しかいないって言うから・・・

それなら・・・って。

不安に押しつぶされそうになる。


< 219 / 233 >

この作品をシェア

pagetop