ナンパ男との恋~最終章~

再会

目的地もないまま
歩道を歩き続け

携帯ショップの前を通り過ぎようとした時


「あら・・珍しい人と会ったわ」



ショップから出てきた人物とぶつかりそうになり
思わず足を止め
見上げてしまった私は
そのまま一直線に顔を見つめてしまっている。


「サキ・・・さん?」


何年ぶりだろう・・・

結婚する前に、輝樹といろいろあって
疎遠になってたけど・・・


数年前に、あかりさんと一緒にいる所を見たきりだ。



「よく分かったわね。
老化現象で分からないかと思ったんだけど」


「あんまり変わってないから・・」


「そう?褒め言葉どうも?
こんなとこで何してんの?一人で買い物?」



「はい・・・」



「ケンカでもした?」


「へ!?」


「オーラがにじみ出てるよ?」


「そんな・・・」


「褒め言葉もらったから
グチでも聞いてあげようか?」


「え、そんな・・・ちが・・」


「私も暇だし、うちおいで。
すぐそこだから」


腕を組まれ
そのまま連れて行かれるように歩いているけれど
不思議と、嫌な気はしない。
ううん、むしろ
何か・・・はっきりしていて清清しさすら感じる。


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