地上182センチメートルを、キミと。
--------昼休み、小春は今日も大志と弁当を食いながら勉強会をするらしい。
繭への気持ちが分からなくなったオレは、やっぱり小春たちと昼休みを過ごしたかった。
「・・・・・・・実は、オレも大志の事知ってて、数学教えてやってんの。 今日、教えてやりに行ってくるから繭と一緒に食えない」
もう、嘘を吐くのも面倒だ。
と言うか、本当の事を言った方が、明日も明後日も小春たちと昼メシを食い易いだろうから。
「ワタシも行く」
予想通り繭もついて来ようとした。
「繭、勉強教えられないじゃん」
繭が来るのを阻止しようと、とっさにキツイ言葉を出してしまった。
オレも大概思いやりがない。
「黙って見てる。 邪魔しないよ」
繭が目に涙を溜めてオレを見上げた。
オレの心臓を鷲掴むには充分。
やっぱり繭は可愛い。
でも
「嫌な言い方してゴメン。 でも、大志ってまじで進級危ういくらいの成績でさ、繭が来ちゃったったら絶対アイツの気が散るだろうから。 繭、可愛いから」
繭は連れて行きたくない。
「・・・・・・・分かった」
『可愛い』と言われてか、少し機嫌を直した繭は素直に聞き入れてくれた。
本当は、可愛い繭を大志に見せたくないからじゃない。
繭に、オレら3人の空間に入って来てほしくなかったんだ。