シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
ともさんは思っていたよりも背が高くて、わたしの涙を拭くのにも少し背中を丸めていた。


香水なのか、それとも家の香りなのか分からないけど、安心感のある匂いがして。


確実に、わたしの心臓がドクドクいってるのが分かった。


「彩月、ちょっとは落ち着いた……?緒方さん、ありがとう」


緒方さん……。


今度は、ともさんの苗字が知れた。


「うん、落ち着いた……。ごめんね……」
「あ、俺こそごめん。途中で変なことしちゃって。でも、見てられなかったから」


そう言うと、ともさんはわたしの頭に手を置いた。


その手に、ドキリとする。


心の中では、〝ともさん〟って呼んでもいいよね……?


「ううん、緒方さんのおかげで彩月も落ち着いたみたいだし。で、メールってなに。まさか、見ちゃったの?」


梨江子の言葉に、また胸が締め付けられた。


「なぁ、とりあえず座らねぇか?」
「あー、そうだね。彩月も、緒方さんも座ろ?」


匠哉さんの言葉に梨江子が頷き、わたしもともさんもその場に座った。


だから自然と、ともさんとは、隣同士になった。


2人に見えていたかは分からないけど、左手はずっとわたしの背中にあてられていてポンポンと規則正しく叩かれていた。


ともさんのその手に、わたしは気持ちが楽になる。


「梨江子、言ってたよね……。メール見る時は、覚悟した上で見なきゃダメよって……。覚悟して見たけど、結構ツライね、これ……」


喋るよりは見せたほうが楽だと、梨江子に携帯を渡した。


「見てもいいの……?」
「うん……」


梨江子は、わたしの携帯を受け取りメールを見ると顔が変わった。


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