シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
「なによ、たく。今いいとこなんだから、邪魔しないで」
「いや、うん。いいとこなのは分かるから、邪魔はしたくないんだけど……。なぁ?とも」
「えぇっ!?俺!?いや、あ、うん……」


ん……?なんか匠哉さんも、ともさんも様子がおかしい気がするのは、気のせい……?


「だったら、なんなのよ」
「あー、うん……。ごめん、さっちゃん」
「え、わたし!?」


まさか自分の名前を呼ばれるとは思ってもいなくて、顔を上げた。


「あの、さ。その恰好はあまりよろしくないと思うんだよ、うん……」
「ん……?」


わたしの今の格好……?あ、梨江子に抱き付いてるのがダメだった?それとも今日の服装が悪かった!?


「あー、いや、だからさ……。とも、パス!!」
「はぁっ!?急にフんなよ!!」
「いや、俺。仮にも、梨江子の夫だし!!」
「あぁ?俺なんか初対面だぞ!!」
「もう会わないかもしれないだろ?」


なに、ふたりで言い合っているのだろう?


「はぁ……。ホント、お前ずりーわ」


ともさんは心底、イヤな顔をした後、わたしをチラリと見た。


その顔は、ちょっと恥ずかしそうにも見えて……。


「あのね、彩月ちゃん……」
「は、はい……」


なに、すごく言いづらそうな顔してる……。


「見たんじゃなくて、見えたんだからね?」
「はい?」


見たんじゃなくて、見えた?なにを……?


「だから、その、クロ……」
「黒……?」


ともさんの視線を辿れば、そこはわたしのお尻で…。


って、お尻!?


「えっ!?きゃ、キャー!!!!」


わたしは人様の家で、悲鳴を上げた。


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