ウソつきより愛をこめて
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翌日、世にも恐ろしいことが起きた。
…やっぱり嘘なんてそうそう簡単につくものじゃない。
「はい、捕獲な」
「はぁ…っ、はぁ…」
全力疾走した私の背中を追ってきたはずの彼の息は、全く乱れていない。
そして昨日から無理なことを始めたせいなのか、彼はすこぶる機嫌が悪かった。
禁煙がストレスになるなら、初めからやらなきゃいいのに。
「店長さん。今日はお休みのはずなのに、なんで出勤してんの?」
「そ、それはあなたも一緒では…」
朝一で出勤したら、なぜか事務所に私服姿の橘マネージャーの姿を見つけて心臓が止まりかけた。
私はすぐに回れ右をして逃走しようとしたけど、ヒールを履いた足ではあっさりと捕まってしまい…。
「俺は善良なここの販売員さんにね、十四連勤なんてしようとしてる大バカな店長がいるから止めてくれって言われて、わざわざ休みの日に確かめに来たやったわけ」
(…美月め、謀ったな!)
「まさか本当だったとはな。昨日電話で正直に俺の誘いを受け入れてたら、見逃してやったのに…」
「だ、だから昨日あんなにあっさり引き下がったのね…!この卑怯者っ」
「俺に嘘つくとはいい度胸だよな。おかげで休みの日なのに朝六時起き。…お前どう責任とるんだ?」