ウソつきより愛をこめて
「…結局一日かかったな」
肝心のクリスマスプレゼントをようやく選び終えた私たちは、やっと車のシートに腰を落ち着けている。
「あの、調子に乗って散々買わせちゃってなんだけど…やっぱり私が払うよ」
「バーカ。俺はお前じゃなくて寧々に貢いでんだよ」
「いや、でも。なんかさすがに悪くて…ほらボーナス出たばっかだし。私にもそれくらい余裕は…」
本当にこんなに買うとは思わなかった。
だって車のリヤシートが、寧々へのプレゼントでほぼ埋まってしまっている。
こんなに色々買い与えてしまったら、マリカに後で怒られそうなんだけど…。
「いいだろ。…このぐらいさせろ」
そう呟くように言った橘マネージャーの横顔を見て、私の心が一気に現実へと引き戻されていく。
…そうだった。
マリカと約束した一ヶ月が、もうそこまで迫ってる。
そろそろ言わなくちゃいけない。
橘マネージャーにどれだけひどい言葉を吐かれても、耐えなきゃいけない時がもうすぐやって来る。
「…なんだ。急に元気ないな。疲れたのか?」
「うん。…まぁそんなとこ」
こんな幸せな時間があるなんて知らなければ良かった。
彼が抱き合う以外でもこんなに心を満たしてくれる人だったなんて、今日一緒に出歩いたりしなければ、一生気づくこともなかったのに。