ウソつきより愛をこめて
「きゃーっ!美月(みつき)すごいじゃんっ!天才!!」
リビングのダイニングテーブルの上に並んだ料理に、私と寧々の目がキラキラと輝く。
「オムライスでいいんだよね?寧々ちゃんの好物」
カウンターの中から顔を出す美月に、私は思いっきり親指を立てながら何度も頷いた。
寧々ちゃんの好物は、しっかりマリカからリサーチ済み。
でも料理の腕前が壊滅的にダメな私は、同い年で同じショップの副店長を務める美月に応援を要請していた。
実は美月、同じマンションの三階に住んでいる。
私と寧々の関係やこうなったいきさつを話したら、自らこの役を買って出てくれた。
さすがに毎日コンビニ弁当や外食ばかりじゃ、寧々ちゃんの身体にも悪い気がする。
だから予定や仕事のない時だけ、美月に食費を渡してご飯を作ってもらうことになったというわけだ。
「はい寧々、お手て洗ってからね~」
「はぁい」
「バイキンごしごし~」
甲斐甲斐しく寧々を抱き上げながら流しで手を洗わせていると、美月が信じられないようなものを見るような視線を向けてくる。
身内の欲目かわからないけど、寧々は本当に目に入れても痛くない程可愛い。
テレビに出てる子タレにも負けない、この子は世界で一番可愛いと私は本気で思っている。
どちらかというと子供が苦手だった私のいい母親ぶりに、美月も驚かずにはいられないのだろう。