ウソつきより愛をこめて
「おはよーエリカ。…ってなにその顔!ファンデの色合ってなくない!?」
顔が白くなり過ぎて化粧の色が浮き出てしまっているのだろう。
美月は顔面蒼白で出勤してきた私を見て、吹き出しそうになっていた。
「美月…今日私、ずっとバックヤードに篭って作業しててもいいかな。いや、むしろ今すぐ帰っていい?」
「ふふ。なに寝ぼけたこと言ってんの。…あ、もしかして寧々ちゃんと別れんの辛かったとか?あんたかなり大事にしてたもんね」
「寧々…!そうだ寧々のこと、見られたかもしれない…!」
「さっきから、何訳分かんないこと言ってんの?」
「…いたの」
「なにが?」
「さっき下に、元カレがいたのっ…!」
「マジ…?」
さっきまで面白がっていた美月も、神妙な顔つきになる。
「え、だってエリカ、ヘルプ断ったんでしょ?それも十二月までまだ一週間以上あるのに。人違いじゃない?」
美月はそう言うけど、さっきのが聞き間違いだとはどうしても思えない。
「エリカさん、おはようございます」