ウソつきより愛をこめて
ぴしゃりとそう言われて、私は押し黙りながら橘マネージャーを睨みつける。
「うるさいな。必要ないって言ってるじゃん」
「…あぁ?」
つい本音が口からこぼれて、私はバツが悪そうに俯いた。
「俺にそんな口きけんのは、本当昔っからお前だけだよな」
この人を言い負かしたことなんて、今まで一度もないと思う。
「ヘルプなんて必要ありませんっ」
「現にシフトが報告されてるものと違う。今日の遅番はここにお前一人しかいないじゃないか」
「……っ」
さっそく痛いところを突かれた。
今日のもうひとりの遅番だったゆりちゃんは、急な講義が入ったらしく1時間ほど遅れてくるらしい。
「何でも自分ひとりで片付けようと思うな」
心臓が射抜かれるような、厳しい瞳が私に向けられる。
悔しいけど言われてることはどれも間違いじゃなくて。
私はその場に突っ立ったまま、なにも言い返すことが出来なかった。