ウソつきより愛をこめて
「どうした寧々、もっと俺と遊びたいのか?」
「んっ!」
軽々と寧々を抱き上げた橘マネージャーに、寧々がとびきりキュートな笑顔を向けている。
…なに?いつの間にこの二人こんなに仲良くなってるの?
ていうか寧々を着替えさせてくれたのって、まさか…。
オムツ替えをしている橘マネージャーの姿なんてとてもじゃないけど想像つかない。
だけど寧々をあやしてる姿は、どことなく様になっていて…。
「……」
目尻を下げて愛おしそうに笑う彼の表情に、胸がズキリと痛む。
そんなに寧々が自分の子だったら嬉しいの?
父親になりたかったのなら、あの時少しでも私の話聞いてくれれば良かったのに。
どんなに後悔しても、あの日に戻ることなんて出来ない。
…私と橘マネージャーを繋ぐ絆なんて、最初からどこにも存在しないんだから。
「…勝手に寧々の事呼び捨てにしないで」
「別にいいだろ。寧々も、俺の名前気に入ったみたいだし」
「しょうちゃん、しょうちゃん!」
「寧々のママは薄情だなー。どーせ俺の名前なんて忘れてんだろ」
…何言ってんの。
そんなの忘れられるはずがない。
「…翔太」
声に出してみれば、その響きが不思議なくらい身体に馴染んでくる。
「翔太(しょうた)でしょ。それぐらい覚えてる」