ウソつきより愛をこめて
寧々と仲良く手を繋ぎ、きらきら星を歌いながら徒歩5分にある私のマンションに向かう。
―――事の起こりは、二日前の夜のことだった。
深夜1時過ぎに突然私の自宅を訪ねてきたのは、数年ぶりに顔を合わせる妹のマリカで。
その細く頼りない腕には、ぐっすりと眠る寧々を大事そうに抱きかかえていた。
「…ちょ、どうしたの急に」
驚いている私の前でマリカは何も言おうとはせず、大きな瞳を涙で潤ませているだけ。
とりあえず寧々を私のベッドに寝かせた私は、温かいココアを入れてマリカの様子が落ち着くのを待っていた。
マリカは今から三年前の二十歳の時寧々を妊娠し、その時の相手と共に突然姿を消した。
あとから知ったけど考え方の古いうちの両親が若い二人の結婚を猛反対し、お腹の子供を施設に入れようとしたからだ。
私は密かに連絡をとっていたけれど、駆け落ち先の居場所は絶対に教えてくれなくて。
写真以外で実物の寧々を見たのはこの時が初めてだった。
「てかなにこれ。天使?めっちゃ可愛いんだけど…」