アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
 



私の中では、彰さんは変態。

晴彰さんは礼儀正しい。そういうイメージ。

でも、確かに顔立ちは似ている。

きっと、同じ服装をしていたら見分けがつかないと思う。


「晴彰さん」


私が声をかけると、晴彰さんは喧嘩をやめない二人のもとから離れた。

緋色の、綺麗な瞳が私を見据える。

吸い込まれてしまいそうな感覚に襲われた。


「どうされました」


「彰さんとは、兄弟なんですか?」


そのとき、緋色の瞳が一瞬悲しげな色をしたのを見逃さなかった。

彼は、私から顔を背けて黙り込む。

私……、よくないことを聞いちゃったのかな。

そんな不安が頭をよぎる中、彼がゆっくりと口を開いた。


「兄上……彰は、私の兄です。……しかし」


その先は聞いちゃいけないような気がした。

しかし私は好奇心に勝てず、思い切り耳を傾ける。

きっと好奇心に勝てる人なんていないし。

でもダメだ! 重大なことに違いない。

でも、聞きましょう亜美。

自分で躊躇いのある自分を説得した。

よし、どんと来い!


「誇りになんか思っていない……寧ろ、ホコリだと思っています」


いきなり声の音量を大にして、肩を震わせている彼。

これはつまり、あれか?

晴彰さんは彰さんのことが嫌いなのか?




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