[短]翼を、ください。ー切なく甘いイブの夜を君とー
だからこそ私は深すぎる傷を負ってしまったんだと思う。



けど、笑い話なんだ。今となれば。



そうしてくれたのは、親友でもカウンセラーでもなく



「僕、オレンジのが好みかも、味。」



目の前で屈託なく笑う彼だった。



もがいても、もがいても、抜け出せない暗闇のなかで



私にとっての彼の笑顔は、眩しくて仕方なかった。



だからこそ、今、



「ねぇ、ほらナナ。見てよ、僕の左側の翼、大分治ってきたよ!」



目の前の彼に




ーーーーーーードキン……



こんなに胸が高鳴るんだと思う。



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