偽りの愛は深緑に染まる

「昼どこにする?」

「あ、その事だけど、実は今日……」

 言いながら、弁当入れをかかげてみせる。

 電車までは自信満々だったけれど、いざとなると少し不安だった。厚かましいと思われたりしないだろうか。人の手作りが食べられない人だったらどうしよう。

 けれど、そんな不安は吹っ飛んだ。

「もしかして弁当?」

「うん。気に入らなかったらごめんね」

「何言ってんの。めちゃくちゃ嬉しいよ。ありがとう」

 良かった。お世辞ではないようだ。

「あそこの机で食べる? お茶も持ってきたよ」

 公園の屋根付きのテーブルに座り、向かい合って弁当を広げる。

「これ、作るの大変だったんじゃない?」

「ううん、今朝思いついて……」

 しまった。手間をかけたように言っておいた方が良かっただろうか。

 しかし光流さんは全く気に留めず、おにぎりを食べ始めている。

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