偽りの愛は深緑に染まる

 12時過ぎ。梨沙は上機嫌で電車に揺られていた。

 弁当は満足のいく出来だ。きっと気に入ってもらえるはず。

 今日は、いつもはストレートの髪を巻いて横で結んできた。毎回同じ髪型では駄目だと思った。服は光流さんが選んでくれたものだから間違いないはず。

 待ち合わせ場所に着くと、彼はまだ来ていなかった。

 少しだけ緊張する。職場の人に会ったりしないだろうか。それが怖い。普段は眼鏡で化粧もほとんどしていないから気付かれないだろうが、心配になる。

 5分ほどして、光流さんが来た。

「ごめん、待った?」

「ううん、私が早すぎるの。大丈夫」

「そっか。いっつも俺の方が遅れてるよなあ」

 
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