偽りの愛は深緑に染まる

「あ、いや、……本当につまらないことを。あはは」

 どきっとした。

 何だろう……気のせいだろうか、声が冷たかった。

 考えていたことを見透かされたような気がしてくる。

 佐渡山のこと。

「同僚に、変な人がいるの」

 梨沙は知らないうちに口にしていた。

「へえ。どんな?」

「懸賞応募が趣味で。葉書を30枚以上も使って応募してるの、多分けっこうな頻度で」

「最近の若い世代で、葉書使って応募するなんて珍しいな」

 うんうんと、梨沙は頷く。

「……それで」

 光流さんが続ける。

 目が合って、梨沙は固まった。

「その同僚は、男? 女?」

 どうして、こんな怖い目をーーーしてるの?
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