偽りの愛は深緑に染まる

 もやもやしたまま、2人はホテルに向かった。

 正直少し怖くなった。

 とにかく、この雰囲気をなんとかしたい。

 彼がバスルームから出て来た。梨沙は思い切って話を切り出す。

「あの、同僚の話……男の同僚だけど……気を悪くしたり、なんてしてたらごめんなさい」

 光流さんは黙って聞いていたので、梨沙は続ける。

「でも、彼は本当にただの同僚で。葉書を見たのは、昼休みに何を熱心に書いてるのか気になったからで」

 嘘をついてしまった。

 光流さんはバスローブに身を包み、髪を拭いていた。やけに色気があり、梨沙は目をそらした。

「こっちは……見れないの?」

「ん……っ」

 
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