偽りの愛は深緑に染まる

 手が伸びてきて、梨沙の顔をぐいっと掴んで上を向かせる。そして唇を塞がれた。荒々しい動作に身体が硬くなる。

 やだ。怖い。こんなの、これまで一度もなかった。

「光流さん……っ!」

 どさっという音がして、白い天井が見えた。そしてすぐに重さがのしかかる。

「俺、かなり嫉妬深いよ。最初に言っておけば良かったかな」

「彼とは本当に、何もなくて!」

「人の嘘はすぐ見抜けるんだよ、簡単なことだけど。梨沙、やっちゃったね」

 さっき着たばかりの寝巻きがたちまち脱ぎさられていく。

 怖い、怖い怖い。梨沙はぎゅっと目を瞑った。

「まさかこんなことしてないよね」

「して……ないっ、あっ」

 首筋をきつく吸われる。身体のあちこちに印をつけられていく。

「……なら、今日はこのくらいで許してあげてもいいかな」

「いや、もっと……してください……」

 無意識のうちに、梨沙は言っていた。そう、言わなければならないと思ったのだ。

 演じなければ、あなたに夢中だと示さなければ次はこれでは済まないと、本能的にわかった。

永遠に続くかのように感じられた。
与えられ続ける快感に脳が麻痺しそうになり、休息を求め、の繰り返しで本当にどうにかなりそうだった。しかし彼は一向に満足しない様子で、やめるわけにもいかない。

 結局、解放されたのはすっかり明るくなってからだった。



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