その結婚、取扱い注意!
「そんなことないけど……湊のせいだからねっ」
「えっ? 俺のせい?」
「そう、湊のせい」
「はぁ?」

私の言葉に戸惑う湊は首を傾げる。

「家で湊を待ちたかったの」

正直に言うと、恥ずかしくて頬がかぁっと熱くなる。

「……まったく、可愛いこと言うじゃん。俺の奥さんは」
「早く帰って薬飲まなきゃね。あ、お腹空いてる?」

冷蔵庫にすぐに食べられる物があったっけ……?

「いや、今日は酒より食べてきたから」

駅が見えてきた。

まだまだたくさんの人々が行き交っている。ここにいるひとりひとりにクリスマスの過ごし方があるんだなとふと思う。

私は湊と過ごすクリスマスが一番の幸せ。今日はイヴ。明日も湊は仕事だけど手料理を作って、クリスマスを過ごしたい。

目の前に白いものがはらはらと落ちてきた。

「あ! 雪っ!」

私は立ち止まり片方の手を伸ばして、舞い落ちてくる雪を確かめる。

「ほんとだ。すぐにやみそうだな」
「そうだね。これくらいの雪が一番いいのかも」

ふとこめかみに湊の唇を感じる。
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