その結婚、取扱い注意!
「それで、ミミはどうして憂鬱な顔をしているんだ?」

不意に話しをふられて、スプーンを持つ手が止まる。

「湊。湊はアイドルグループの高宏って、知ってる? いつもはタカって呼ばれているみたい」
「いや、知らないけど? そいつがどうかしたのか?」

湊は缶ビールをごくっと喉に通し、チーズをぱくっと食べる。

「きららさんの幼なじみで彼氏だったの」
「きららに芸能人の彼氏か……」
「彼、きららさんに酷い言葉を言ったの。おか……ニューハーフより普通の女が良いって」
「……アイドルグループに所属しているなら、それが賢明なのかもしれないな」
「やっぱり湊もそう思う?」

常識的に考えれば、そうなのかもしれない。
でも、きららさんを考えると、やりきれない思いもある。

「どこでマスコミは狙っているかわからないからな。で、ミミはきららが可哀想で気持ちが重くなっているんだ」
「そう……」
「そいつと別れても、きららを幸せにしてくれる奴が現れるさ。あいつ、男にモテるからな」

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