恋が運ばれて
彼の携帯が鳴った。

「悪い、電話だ。そうか、わかった。迎えはいい、自分で行く。」

「急用?」

「親父が倒れたらしい。」

「大変!すぐ行った方がいいわ。」

「いいんだ。」

「どうして?私だったら飛んで行くわ。」

「こんな時だけしか俺は必要とされないんだ。」

「どういうこと?」

「風間家のヤツらはそういう連中なんだ。」

「風間家って?」

「風間アイランドの風間だ。

一度くらい聞いたことあるだろ?」

「あのリゾートアイランドの?」

「そう、俺は風間衛の本妻の長男だ。親父は俺の他に、4人の愛人との間にも子供がいるが相続するのは遺言で俺とお袋の二人だけだと以前から言われていた。」

「でもまだ亡くなると決まっているわけじゃないでしょ?」

「いや、相当危ないらしい。側近の話しじゃ、今夜もたないと言っていた。」

「どうして行ってあげないの?わかっててどうして顔を見せに行かないの?」

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