冷たい上司の秘密の誘惑
「焦った…仕事に来てみてよかったよ」

そう言った篠田部長は、大きく溜息をつく。


「…助けてくれて、ありがとうございました」

私は篠田部長の胸に顔を埋めて、そう呟いた。


「バカ・・・礼なんていらない。

オレは当たり前の事をしただけだからな」

その言葉に顔を上げると、篠田部長は優しく微笑んだ。


「そんな事無いです、本当に嬉しかったから。

ありがとう、光世さん」


「…今、なんて言った?」

私の言葉に目を見開いた篠田部長。

私は何でもない顔をして、ニコッと笑った。



「お礼を言っただけですよ?」

そう言って、篠田部長から離れると、オフィスを出ていく。


「光世って言っただろ?」

「フフ…気のせいですよ~」


「いや、言った」

「言ってません」

私はおどけながら、篠田部長から逃げ出した。

…今なら言える。

心から、光世さんって。

私の心は、晴れ晴れとしていた。
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