冷たい上司の秘密の誘惑
「あ、おい!またそこ間違えてるぞ」

「・・・へ?・・・あ」

指摘を受けた個所に目をやると、確かに間違えている。

私はそそくさとそれを訂正する。

…どれくらい時間が過ぎたのか、外は暗闇に包まれていて、

私の仕事もやっと終了。

溜息をつき、大きく背伸びをした。


「…やればできるんだから、もっと集中しろ、久保」

書類に目を通した篠田部長が、私の頭を書類で軽く叩いた。


「ッテ・・・これからはもっと頑張ります」

作り笑いを浮かべながら、手はさっさと帰り支度をしている。

もうこれ以上、篠田部長と一緒にいるのはごめんだ・・・

息苦しくて、死んじゃいそう・・・

「残業に付き合わせてしまってすみませんでした、それでは・・」

そう言ってデスクを離れようとすると、


「…待て、久保」

「・・・」

私のカバンを人質に、私を制止させた。


「お前、オレの事嫌ってるだろ?」

「?!…まさか、そんなことあるわけないじゃないですか?」

思ってる事は口にせず、建前の言葉を並べる。

それを聞いて、篠田部長が…笑った。
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