極上エリートの甘美な溺愛


将平の仕事に対するどん欲な積極性は良く知るところだが、女性に対してのそれは、まったく持ち合わせていないだろうと感じていた。

ところが今の将平からは、玲華への独占欲、と言えば聞こえはいいが、彼女を自分のものにするためには何をもいとわないとでもいうような、黒い感情が見え隠れしている。

高校を卒業しても尚、将平が捨て去ることができなかった玲華への想いを、今ようやく成就させようと決めたに違いない。

どうやって彼女を手に入れるのか、お手並み拝見だな。

ふと浮かんだそんな感情を顔に出さないように慎は小さく息を吐き、後ろに立っていた女性を振りかえると、彼女の腰に手を回した。

「俺たちも、一応、デートなんだ」

 慎の隣にいた美人の女性が顔を出した。

「デートの邪魔をしてごめんなさいねー。慎の彼女の千春です。私も将平の同期なのよ」
 
明るい笑顔を浮かべ胸元で玲華に手を振った彼女は、ふと思い出したようにため息を吐き肩をすくめた。

「実は、私達もデートの邪魔をされたのよね」

隣にいる慎を見上げながら、からかうようにそう言った彼女。

ため息を吐いているのに明るいその表情を見れば、千春の動きが大げさなものに見えてくる。

それほど機嫌が悪いわけではなさそうだと、玲華はほっとした。

将平にいたっては、千春との付き合いの長さからか、特に気にする風でもなく、ただ二人がじゃれ合う様子を苦笑しながら見ていた。

「仕方ないだろ。篠田さんの休みが今日しかないんだし、それに契約してくれたんだからいいじゃん」

呆れたような慎の言葉に、舌を出す千春。

そして玲華は、慎の口から出た『篠田』という言葉に、ぴくりと反応した。

「篠田さん……?」

篠田と言えば、あの篠田しか思い浮かばない。

一緒に仕事をしている会社の先輩。

篠田拓人。


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