極上エリートの甘美な溺愛
心底そう思っているような千春の声に、恋人である慎は、相変わらず笑ったまま、怒る様子もない。
千春のことをよっぽど信じているんだろう、彼女の頭を小さく小突きながらもその目は優しい。
ふたりの様子を微笑ましく見ていた玲華は、くすくす笑った。
「篠田さん、今日契約したんですか?もちろんRinですよね」
「正解。なんでも、好きな女性がRinを気に入ってるから納車も早くして欲しいって何度もお願いされたんだよな。あー、もしかして、その女性は玲華ちゃんの事だったりして」
からかうように玲華の顔を覗き込む慎に、玲華は焦り気味に否定する。
玲華の隣で不機嫌そうな表情を隠そうともしていない将平が気になって仕方がないうえに、こういうからかいには慣れていないせいか、玲華の否定の仕方はぎこちない。
そのぎこちなさを感じた将平は、やはり玲華と篠田の間には特別な何かがあるんじゃないかと、小さな不安を覚えた。
これまで何度も玲華と篠田が一緒にいるところを見た。
たとえ仕事の延長線上だとはいっても、その親しげな温度を見せつけられると、「まさか」と思わないでもない。
少なくとも、篠田からは、玲華に対する好意が感じられて、いい気分ではない。
単なる仕事の付き合いだけではない何かを感じる。
必要以上に距離が近いのではないかと勘繰りたくもなる二人の様子を見ていると、篠田が玲華に向ける思いの中に、愛情があってもおかしくないと思う。
まあ、それでも玲華をあきらめるなんてことしないけど。
将平は心の中でそう呟き、口元を歪めた。
将平のそんな気持ちに気付かないまま、玲華は慎に向かって篠田とのことを必死で否定している。