極上エリートの甘美な溺愛


その後もそれなりに楽しい大学生活を過ごしていたが、大学生活も終盤、4回生になってすぐに恋人ができた。

相手は同じサークルの同級生。

『ずっと好きだったんだ』

まっすぐに見つめられ伝えられた言葉は、一度だけではなく何度も続き、真摯な声音とぶれることのない思い。

その思いに触れるたび、玲華の心は大きく揺れた。

そして、それまで頑なに作っていた恋愛を拒む壁に、玲華自身が小さな穴をあけた。

その小さな穴をくぐりぬけるように、玲華にとって初めての恋人がやってきた。

初めて体を重ねたのは大学を卒業する直前だった。

付き合いはじめてからも、自分の気持ちに確かなものを感じられなかった玲華は、それでも「好きだ」と言ってくれる優しい恋人に甘えて、体温を分け合うことを先のばしにしていた。

周囲の友達と比べれば格段に遅い年齢だったけれど、いつの間にか好きになっていた恋人との初めての夜は、玲華にとって大切な思い出となっている。

自分が初めて体を重ねた相手となればその存在は特別なのは当然で、一生忘れられない人だろうと、思っていた。

それでも。

大学を卒業し、就職で遠距離となった恋人とはあっけない別れを迎え、今ではなんのつながりもない。

社会人となり、その緊張感と仕事に慣れるための忙しさに追われ、メールのやり取りをすることもなく、完全に途切れた縁。

引きずることもなく、恋人への思いは胸の奥に潜め、徐々に風化していった。

そんな事実に玲華は気付き、はっとした。



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