極上エリートの甘美な溺愛
将平が持っている恋愛に対する曖昧な感情。
人の心の移ろいにいい印象を持っていないと言っていた将平の悲しげな表情を思い出し、玲華は自分自身もそうだったと感じて後ろめたさを覚えた。
大学時代の恋人と、あれほど楽しく温かい時間を過ごしたというのに、それでも遠距離になるからという理由であっさりと別れ、それ以来なんの連絡も取り合っていない。
嫌いになって別れたわけでもない。
なのに、別れたあと、寂しさも愛しさも何も感じず、自分の生活を整えることだけに必死だった。
人の心の移ろい。
それは、本当に脆くて非情なものだと感じ、玲華の気持ちをぐさり、落ち込ませる。
「どうした?」
ちょうど赤信号で車は止まり、将平は心配そうに玲華を見遣った。
それまでふたりで交わしていた会話が途絶え、俯いて何かを考え込んでいる玲華に将平が気付かないわけがない。
将平は、玲華の顔を覗き込み、彼女の表情を確認した。
それまで笑顔を見せていた玲華の表情は、今では何かを思いつめているような重苦しいものに変わっていて、将平は不安を覚えた。