極上エリートの甘美な溺愛

玲華も同じように自分の予定を確認しようと、スケジュール帳を広げた。

その時、玲華のスケジュール帳に挟まれていた一枚の写真がテーブルの下に落ち、それに気付いた将平は、席を立って拾い上げた。

「あ、ありがとう……」

少し焦ったような玲華の声。

将平は何気なくその写真を見、はっとして、問いかけるような視線を玲華に向けた。

すると、将平の表情を気にするように、玲華が答えた。

「懐かしいでしょ。卒業式にみんなで撮った写真だよ」
 
将平の手の中にあるのは、高校の卒業式で玲華の父が撮った写真だ。

真ん中に立っている将平の顔は無表情で、一方、玲華を含め他の7人は卒業証書を手に笑っている。

泣きはらした目で無理矢理笑顔を作っている玲華、そして、仲間たち。

卒業後この写真に写っているメンバーとはなかなか会えずにいるが、この写真を見れば当時の楽しかった思い出と、その時に感じたほっとする感覚が蘇る。

仕事で疲れた時にこの写真を見れば、自然と体はしゃんとし、前向きな気持ちになれる。

それに、将平と一緒に映っている写真となれば、玲華にはとても貴重なもので。

スケジュール帳に挟んでお守りのように大切にしている。

「式のあと、将平にも送ったよね。持ってる?」

「あ、ああ。実家にあるよ」

将平は、小さな声でそう呟くと、じっと写真を見つめた。


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