sweet memory ~奏大side~
「……」
「…さ、西條副社長?」
「……」
「あ…あの……」
「……」
「……」
奏大は全くの無反応であった。
話し掛けてきた男性は、どうしたら良いのか分からず、呆然と立っていた。
しかし、諦めなかったのは娘のようで、今度は自分が奏大に話し掛けた。
「奏大さん、今度お食事にでも行きませんか?」
「……」
「おお!それは良い考えだ。西條副社長、ご予定はどうでしょうか?」
「……雨宮」
「はい、かしこまりました。…申し訳ありませんが、この後婚約発表会が控えておりますので、ここで失礼させていただきます」
「あの…」
「それから、副社長は婚約者である花菜様をとても溺愛されております。よって、そのような発言は控えていただきたい。ましてや、ご本人様がいる前でそのような話をするなんて、言語道断」
「雨宮…」
「はい、副社長」
「悪いが、今後貴方の会社との取引は見直させていただきたいと思います」
「そ、そんなっ!」
まさかの発言に、話し掛けてきた男性は驚きの表情を浮かべた。