sweet memory ~奏大side~
「あっ…怒ってる?」
「いや…」
「おでこに皺が寄ってるよ?」
「怒ってはない。だから花菜は気にしなくていい。旅行を楽しむんだろう?」
「でも…」
「ほら、いつまでもここにいるわけにはいかない。そろそろ移動しよう」
「うん。…ごめんね、奏くん」
奏大は花菜に微笑むと頭を撫でた。
そして、花菜の手を握ると、タクシーに乗り込んだ。
奏大が運転手に行き先を告げ、車は動き出した。
運転手が話し掛けてきたこともあり、あっという間に目的地のホテルに着いてしまった。
タクシーを降りると、奏大は花菜の顔を覗き込んだ。