Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「佐伯さんの住んでる横浜駅までは行けたんですけど、駅前で『気持ち悪い、吐く』って言い出して。どう見ても、家の住所も言えそうにないし、家に着くまで吐かずいられそうもないと思って、姉が働いてるこのホテルに入ったんですよ。昨日が姉の勤務日で良かったですよ、本当に」
 嘘……。杉山のお姉さんに酔っ払った姿を見られた。その上、杉山の前でリバースしてしまったのだろうか。

「部屋に入ってから大変だったんですよ。トイレでヘタリ込む。吐いてスッキリしたら、『ベッドに運べ』って言うし。ベッドに降ろした途端、寝ちゃうし。しかも、俺のワイシャツを握ったままで。手を離してくれなくて、仕方なく同じベッドで寝たんです。言っておきますけど、何もしていませんから」
 したんだ、リバース。何もなくても、それ以上に恥ずかし姿をさらしたんだ。あり得ない……。

「他に何か聞きたいことでもありますか?」
 恥ずかしい、やら、情けないやらで、部屋の中をキョロキョロ見た。
 杉山は今、ベッドに座っている。で、私もベッドに座っている。なぜ、ベットが2つ?

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