Sweet Room~貴方との時間~【完結】
「ねえ」
「何ですか?」
 杉山はぶっきらぼうに言ってきた。こんな反抗的な感じの話し方をする杉山を初めて見る。

「何で、部屋がツインなのよ」
 シーツでガードをする意味がないと気付き、手と一緒にシーツを膝の上に置いた。

「ああ、シングルが空いてなかったんです。仕方なくツインに。俺は佐伯さんが落ち着いたら帰る予定だったんですけど。さっき話したような状況だったんで、俺もここに泊まったんです」
「そう。あの」
「はい? まだ、何かありますか?」
「あの……、その……、ぁりがとっ」

 仕事に関係ないことで、杉山にお礼を言うような状況が今までなかったせいで『好きです』と告白するくらい、『ありがとう』が恥ずかしいと思ってしまう。 

「ふぅっ……。どういたしまして」
 小さく息を吐きながら笑った顔が、少年の中にある色気を見たような気がして、変に意識をしてしまいそうだった。

「これからどうします?」
「えっ?」
「すぐに帰ります? それとも部屋で朝ご飯でも食べます?」
 杉山の目線がベッドサイドにある時計へ移動した。時計は【07:28】と表示されている。
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