Sweet Room~貴方との時間~【完結】
 カーテンを開け、部屋に朝日を入れる。ローテーブルの上に私のバックが置いてあった。バックに手を伸ばし、スマホを取り出す。もう二度と連絡をくれない人のアドレスとメールを消去した。1か月前に元彼となった男のアドレスを大事にしている自分がバカらしくなる。

 髪から昨日の居酒屋の匂いが微かにした。杉山だって、多分、私の介抱でシャワーを浴びていないはずなに、私だけがシャワーを浴びてしまうのも申し訳ない気がするけど、ここは素直に甘えることにした。
 ポーチを持ってバスルームへ行き、クレンジングオイルや化粧水を出す。たったこれだけのことで涙が出てきた。

 彼の家にいつでも泊まれるように持ち歩いていた1泊分のお泊りセット。普通はこういう物って、彼氏の家に置いておいて問題ないもの。でも、彼は「間違って捨てちゃったら嫌だから」と言って、私のものは何一つ置かせてくれなかった。

 それに掃除が苦手な彼の部屋はいつも散らかっていて、私が掃除しようとしても「ここはこれで便利だから」と、掃除を拒んだ。
 そんなこと全てを「ずぼらな人だから仕方ない」と思っていた。

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