3つのR


「俺専用に持っててよ。俺だけの為に使って。だから、お金は俺がもつ」

 どうしたらいいのだとますます困って俯く私に、龍さんは意地悪そうな声で笑った。

「嫌だったら―――――――迷惑だったら、勿論無理しなくていいよ。焦らすのは好きだけど焦らされるのは好きじゃないから、ダメなんだったら今言って。それとも別に、気になる男がいる?」

 いえ、居ません。私はそれだけを呟いた。

 男性だけでなく、女性であっても新しい出会いが増えたのは、ごく最近の話なのだ。仕事の幅を広げて、ゴミ拾いに行きだしてから。今目の前で笑う彼ほどのインパクトを残した人はいない、それだけは確かだと自分でも思った。

「持ってて欲しいんだ。―――――――はいって言って」

「・・・」

「言えってば。ほら、にっこり微笑んで、はい、だよ~」

「ええと・・・はい。でもお金は自分で払います」

 だって、私が使うのだったら、そう思って言ったけれど、彼はアッサリ却下した。

 龍さんはそれはダメって両手で大きくバッテンを作る。そうしたら、他のプライベートでも使っちゃうでしょ?って。これはあくまでも俺専用だよ!って。

「毎日メール頂戴ね、ダーリン!って言ってみてジュンコさ~ん」

「え、嫌です」

「うっ・・・そ、そこはハッキリ言うんだな。じゃあ毎日電話頂戴ね、ダーリン!でもいいや」

「ふふふ・・・言いませんよ」


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