3つのR
『来月なんだよ。大丈夫かな?第一土曜日なんだけど』
「はい大丈夫。今は家で仕事してて、ほとんど外に出てないのよ」
カレンダーを確認せずとも私は暇なはずだ。千草は明るい声で、じゃあ宜しくね、楽しみにしてるよ~と言ってから電話を切った。
ほお、と息を零して目の前の壁を見詰める。・・・高田君、久しぶりに聞いた名前だ。
「どうしたの、遊ぶ予定?」
コーヒーを淹れながら姉が聞くのに、ぼんやりとしたままで私は答えた。
「違う、結婚した友達がいて、そのパーティーだって。・・・ほら、孝太も友達だから、私達がかち合わないように気を使ってくれたみたい」
ああ、と姉の声がした。
「同じ大学出身だとそういうことがあるわよね~。友達がほとんど一緒だもんね」
「そうそう」
・・・そう、だから高田君もいるのだ。
私は自室へ戻る。それからベッドに寝転んで、元夫の平林孝太の幼馴染、一つ年下の美男子を思い出していた。
物静かで非常に整った顔をしていた男の子を。働きすぎの夫にいつも説教してくれていたのも知っているし、離婚になった時も最後まで二人の連絡係をしてくれていた人だ。
じっと人を見るクセがあって、別に責められているわけではなかったのに、私はその目が怖くて彼を見れなかったんだった。