ラベンダーと星空の約束
流星は何もかも忘れていた。
私の名前も顔も、
二人で見たラベンダーの色も星空も…
それから、
フラノに戻ると…
私とあの地で生きたいと言ってくれた約束も…キスも…
何もかも忘れてしまったんだ……
右手から箸が滑り落ち、テーブルの上に転がった。
胸に下げている紫水晶の指輪を、制服のブラウス越しに握りしめた。
思い出すなら自力で思い出してと願ったけど、
私が大切にしている想い出は、深い深い記憶の底に眠っている。
それが目覚める日は来るのだろうか……
メッセージカードを見ても…私を見ても…記憶が戻らないのなら、
この先二度と思い出すことがないのではないか……
心が悲鳴を上げていた。
胸が締め付けられて息苦しい。
苦しみの中、声を振り絞り流星に尋ねた。
「あの本…
流星が書いた本の少女は…紫(ムラサキ)ちゃんなの?」
「んーそうなんだけど…
何にも思い出せないから、全部想像だけどね?
きっとこんな子で、こんな事があったんじゃないかなー…
そう思って書いたんだけどさ」
「そっか……」