ラベンダーと星空の約束
アホな大樹が余計なことを言って、フラノから来たことがバレるかも知れない。
そうなる前に早く通話を切りたかったけど、
受話口からは怒っているような…
いつもより低めの声が聞こえてきた。
『紫…流星と話してぇ…電話代われよ』
「えっ!?
ダメだよそんなの…」
『大丈夫。
お前が心配するような事は言わねぇから。
紫をよろしくって言うだけ…』
どうしようかと迷ったが、
私達の会話をしっかり聞き取った流星に、スマホを取り上げられた。
「もしもーし。
ゆかりちゃんの彼氏さんですかー?俺に何か用っすかー?
−−−− うわっ 怖っ!あ、切られちゃった」
ニコニコしながらスマホを返されるが…
「怖っ」て…
大樹は何を言ったの?
不安げに流星を見ていると、大樹の言葉を教えてくれた。
「手を出したらぶっ殺すって言われた。
彼氏怖いねー。俺、殺されちゃうかも〜」
大樹の奴…
何が「よろしくって言うだけ」よ。
そんな物騒な事を言うなんて、後で叱ってやらないとダメだね。
「大樹がひどい事言ってごめんね?」
「ん? 全然大丈ー夫!
そういうの慣れてるから。
女の子の彼氏にエロいことしたのがバレて、マジで死ぬかと思った事もあるし〜」
慣れてるんだ…
しかも、そんな思いをしても女遊びを止める気はないみたい。
本当、どうしようもない奴…
呆れ顔で見ているのに、流星は微笑みを崩さない。
その瞳は色素の薄い綺麗な茶色で、右頬には可愛らしい笑窪。
あの夏に恋したその痕跡がなければ、
私に回してくるこの腕を確実に拒絶している。
苦手だけど、やっぱり嫌いにはなれないんだよ……