ラベンダーと星空の約束
 


「流星、戻ろ?」


「ほーい」




 ◇


その後一時間歌って解散となった。

クラスのみんなと手を振り別れて、流星と瑞希君と柏寮に帰ってきた。



夕食がまだの為、途中のコンビニでお弁当を買い、流星の部屋で3人一緒に食べた。



何か不思議。

昨日は…大ちゃんが流星だと気づいていなかった昨日は、

この部屋に入るのが嫌だったのに、

翌日の今日、こうして上がり込み、ご飯を食べているなんて……



昨日の“大ちゃん”を見る目と、今日の“流星”を見る目は全くの別物。

一日で、流星の事が大分分かった気がする。



でも、まだ分からない事も沢山ある。

その一つは、どうしてそんなに人柄が変わってしまったのかと言うこと。



それを知ることが出来るのは、いつになるか…




お弁当を食べ終え、狭い部屋にドンと構えている書棚に視線を向けた。



隙間が無いくらいにギッシリと詰まった本。

入り切らない分は床の上に積み上げてある。



書棚に並んだ本の背表紙を順になぞり、日焼けした古びた文庫本を手に取ってみた。



ドストエフスキー著『罪と罰』の翻訳本。
それには見覚えがあった。



この本は……

あの夏の記憶が、
静かに…鮮やかに…呼び戻された。





―――――……
――――…



「流星、遊ぼ!」



「おはよう紫。
今日も暑いね。何して遊ぶ?」



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