ラベンダーと星空の約束
「すごいねー!
流星、頭いいねー!天才だねー!」
「そんなに褒められると、恥ずかしいよ…」
流星はよく本を読んでいた。
小学5年の私が読んでいたのは、
夏休みの貸出で図書室から借りてきた物語や写真集。
私と一つしか歳が違わないのに、流星が読むのはいつも大人向けの本だった。
私が読んでも理解出来ないから、
彼は解りやすくかみ砕いて内容を教えてくれた。
芥川や夏目漱石など日本文学も読んでいたが、
外国の翻訳本を読んでいる方が多かった。
特に好んでいたのはロシア文学。
ドストエフスキーやトルストイを読んでいたことを思い出した。
――――
―――――…
ドストエフスキーの『罪と罰』
懐かしいその本を手に取り、気持ちがあの夏にトリップしていた。
こんな所にも、あの夏の痕跡はあった。
笑窪や瞳の色だけじゃなく、
本が好きな所も変わっていないんだね……
嬉しかった。
少しだけ、私が好きだった流星に会えた気がした。
「ゆかりちゃん?その本読みたいの?
俺は何回も読んだから、良かったらあげるよ?」
「うん…ありがとう…
遠慮なく貰うね」