ビターオレンジ。
「変な事考えるなよ。」
「…え?」
「全部顔に出てる。そんなに生きるのが辛いか?」
少しだけ掠れた声。
翔ちゃんのこの声は怒っている時の声。
聞かれた問はもう何度も感じた事。
だから決まって答えは一緒だ。
「うん」
素直に頷く。
そして、翔ちゃんに背を向けて…言うの。
「…また来てもいい?」
“また”わざとその言葉を使って。
次がある様にと自分に言い聞かせたんだ。
溢れる涙を見せないように一度だけニコッて笑ってみて…。
涙を拭ってから練習したばかりの笑顔を見せた。
「またね。翔ちゃん。」
「…」
返答をまたないまま保健室を出た。
そして、苦くて酸っぱい…
ビターオレンジのキャンディーを口に入れ…いつもの場所へ歩き出す。
うん。
やっぱり…美味しくない。