ビターオレンジ。

雨の日だった。


曇っていて暗くて…雷もなる程酷く荒れた日。

そんな日に限って私は熱が出た。




かなりの高熱で…。


だから咲さんは病院へ連れて行ってくれたんだ。




車に乗り、窓の外を見ると何度もピカリと光る光景が見えて…

急にキューブレーキの音が響きわたり曖昧な意識がはっきりとしたものに変わった。







全身が痛くて…鉛の様に動かなくて、

生臭い匂いがしていた。


やっと上げた右手は真っ赤に染まっていて何が起こったのかわからずに顔を横に向ける。




だけど、直ぐに目をつぶった。

こんなの余りにも酷いよ。



冷たく嘲笑うかのように降り続けている雨。




ギュッと握られていた左手が離れ、

咲さんの手と私の手が地面にあたりパシャリと音を立てた。





暫くすると誰かの声が聞こえてきて、

咲さんと会話をしていた。



「…也佳を…っ…たす…け…て」



私なんていいのに…。

たけど、声なんて出なかった。



喉が燃えるように痛かったから。



早く早くって…でなければ咲さんが言った通りになる。

守ってくれなくたっていいんだ。




咲さんが助かってくれれば…それでいい。



なのに、




…とても眠たかった。

意識が薄れてきて…駄目。駄目だ。って何度、自分に言ったかも覚えていない。




だけど、紅く赤く染まった自分の身体とその横に倒れて冷たくなった咲さんの姿は今でも鮮明に思い出せる。




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